こんちはMUDDYです。
いきなりですが
この度、ウチでの使用率NO.1のヤマハ・セロー225(1KH)がなんとなーくの不調を起こしました。
どういった症状かと言いますと・・・、
アクセルをラフに扱うとパワーの盛り上がりのタイミングで速度が伸びないのに回転だけ上がってしまうといったクラッチの滑りの症状が出るようになってしまいました。
しかし、丁寧にアクセルを開ける分には気になる滑り感はなく、クラッチ滑りの初期段階かと思い
クラッチ板を状態確認してみるべく今回分解してみました。
予想ではクラッチ板の焼けかと思ったのですが、実際はクラッチ板(フリクションプレート・クラッチプレート)には気になる焼け等は無く、クラッチハウジングのガタが原因だったみたいです。
てな訳で今回はセロー225(1KH)のクラッチの分解・修理をしてみました。
*ちなみにこのセロー走行距離16000KM(中古なので推定)
バラシの前に・・・
分解を始める前には必ずクラッチを操作する
クラッチレバーやワイヤー、また、ワイヤーの遊び等
に異常が無いかよく確認してください!
ワイヤーの遊びが無さすぎたりすると半クラ状態になったり、クラッチ滑りと同じような症状が出ますので要注意です。
分解開始!カバー編
ではでは早速バラシていきます。
ちなみに今回の作業は、マニュアルに従っての作業ではないのであくまで自己責任でお願いします。
⇧クラッチはこのケースの中に入っています。
通常このケース内部はエンジンオイルで満たされています。
ではまず、エンジンガードを取り外しオイルを抜いておきます。
なかにはオイルを抜かず、バイクを寝かせて作業される方もいるみたいですが・・・
今回はオイルも交換しますので先に抜いておきました。
⇧次にキックペタル外します。
スプラインに位置をマーキングしておくと組付け時がラクチンです。
⇧ブレーキスイッチのスプリングを外す。
⇧ブレーキペタルのリターンスプリングも外します。どちらもドライバーで引っかけて簡単に外れました。
⇧ドラムブレーキのアジャスターも外しておきます。
蝶ネジを手で緩めロッドを外します。
予め位置を把握しておくと組付け時に同じ踏みしろになります。
続いてブレーキペタルアッシー。
このペタルのシャフトの裏にクリップがいます(写真:ドライバー先端部)
マジでこいつがなかなか外れない。
ニッパーで端をつかみテコの原理で外しました。
なんやかんやで10分位格闘しました💦
⇧クリップが外れたらブレーキペタルのシャフトを抜きます。
シャフトが外れたら、フリーになったブレーキペタルアッシを抜き去ります。
ブレーキペタル自体を斜めにしたり反転させたりと意外に結構難解。
組付け時はシャフト部分にグリスを添付しておきます。
これでケースカバーを外す際に邪魔なものはなくなると思います。
カバーの中身
続いては本命クランクケースカバー開けます。
ケースカバーのまわりのプラスのボルトを外していきます。
エレメント部分のボルトがクランクケースに貫通してますので忘れずに外します。
プラスのボルトはナメやすいので必ずサイズの合ったドライバーを必ず使いましょ。
多分初めて開けるケースカバー・・・プラスのボルト完全に固着してました。
コレ、力ずくで回すとナメるパターンです😓
サイズの合った貫通ドライバーとハンマーでノックしながらボルトを緩めます。
モチロンですが叩き過ぎには注意です!
ちなみに特殊工具で
こんなのもありますよ⇩工具箱に入れておくともしもの時に頼りになります。
ショックドライバー!!
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今回はエレメント部(オイルフィルター)から取り外し。
オイルフィルター(エレメント)のカバー裏
大小のオーリングがいます。
紛失に注意です。(指差し部)
今回はせっかくなので外した部分のオーリングも全て新品に交換しました。
それと、うろ覚えなのですが、セローのオイルフィルターは似た形ものがヤマハ純正で存在したと思いました。適合を必ず確認する事をお勧めします。間違うと潤滑不良で焼き付きの原因になると聞いた覚えがあります。かなり前に聞いた話ですが参考までに💦
オイルフィルター部が外れたらケースカバーのボルトをすべて外しちゃいます。
ボルトは長さがまちまちなので、組付け時はボルトを差し込んで同じ長さだけ頭が出るように確認して組付けます。
ボルトが全て外れていることを確認出来たらプラハンでケースを叩きながら外します。
傷つけないように全体的に叩きます。
ケースカバーには叩けるようになっているリブがありますが、集中的にその部分だけ叩くと破損したりしますので何か所かあるリブをまんべんなく叩くのが無難です。
ケースカバーが浮いてきたからといってマイナスドライバーとかで浮いた隙間を無理やりこじるのはやめた方が無難です!ケースの合面に傷が付くとオイル漏れ等の原因になりかねません!
⇧傷つけないように注意しながら焦らず外していきます。
ケースカバーが外れるとこんな感じです。
真ん中の丸いのがクラッチ。
この中にクラッチプレートとフリクションプレートがミルフィーユみたいな感じで入っています。⇩⇩⇩
次はこのミルフィーユを分解していきます。
クラッチ本体編
ケースカバーが外れたらクラッチ本体を分解していきます。
意外と簡単に分解できますが、部品が付いていた順序等を記録しておくと組付け時に迷わずに済みます。
まず分解にあたり、
クラッチスプリングを押さえているボルトを外します。
クラッチユニットの中央以外の4か所のボルトです。
真ん中はクラッチ調整用のアジャスター。
今回はクラッチの切れ等は問題なかったので触りません。
ゆるみが無いかのみ確認と内部に使っているO-リンクのみ交換。
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⇩クラッチスプリングは等ピッチになってました。
クラッチスプリングが外れると
プレッシャープレート・クラッチプレート・フリクションプレート
が外れます。
中心部のシャフトの中にはボール(玉)が入っています。
バイク本体をスタンドとは逆側に倒すと転げ落ちてきます。
大事な玉です(笑)紛失注意です!!
クラッチ本体は順番や位置が分からなくなるのを防ぐため一体で外しました。
いっきにゴソッと外しちゃいます!
んで外したら観察。
⇧よく見るとフリクションプレートが一枚形状の違う物がありました。
同じところにスプリングクラッチボスという物が1つ入っています。(赤矢印)
部番1KH-16383-00(スプリングクラッチボス)
⇩順番通り並べてみました。
写真の右側が外側(プレッシャープレート側)になります。
とりあえずフリクションプレートの厚み計測。0.314mm
いずれにせよ交換するのであまり意味が無いのですが
使用限度には達していませんでした。
クラッチプレート、フリクションプレートともに見て目では焼け等もなく問題なさそうでした。スプリング自由長、プレート類の使用限度の数値も問題なし・・・だとしたら原因は何だ??
*ちなみに今回交換する部品たち
336-16324-00クラッチプレート
537-16321-00フリクションプレート
参考までに!
赤の矢印部品がさっきも書きましたが
1KH-16383-00スプリングクラッチボス
とそこに使うフリクションプレート
537-16321-00になります。
ちなみにクラッチハウジングの段付き(フリクションプレートの当たり面)は距離相応な感じで問題なさそうでした。
本来、クラッチ板の交換ならこの時点でクラッチプレート組み込んで終了ですが
・・・がっ・・・!!
ここでおかしな事にああああ!!
スベリの原因はハウジングのガタ!?
ここで気付いたことなんですが、
なんとクラッチハウジングがガタガタでした(´;ω;`)
⇩回転方向にギヤっ歯一枚分位ガタありです・・・。
分かりにくいのですが写真1と写真2の部分で赤○の部分だけガタガタ動きます。
さらにハウジングのギヤ側(黄色矢印)とボス側(赤矢印)で2ミリ位ガタが出来てました・・・
(⇩写真)
つまりハウジングが・・終わっとる。
今回の滑りの原因はこのハウジングにありそうです。ハウジングのガタつきにより、ラフなアクセル操作では正しく動力が伝わらなかったのではと推測しました。
慌ててハウジング他諸々注文しました。
気を取り直し部品が来るまでの間ハウジングをバラしていきます。
まずはセンターのロックワッシャーをマイナスドライバー等で広げていきます。
センターナットを取り外し、ハウジングを取り外すのですが、この時ボスを固定する必要があるので専用工具が必要になります。
当然持っていないのでこんなん作ってみました⇩
これでボスを固定しセンターナットを外します。
コレ、二枚重ねで作った方がよさそうです・・・。
外す際歪みました・・・💦
さて、
ナットが外れると
ボス、ハウジング、ワッシャ(ハウジングの後ろにいるヤツ)が外れてきますので新品部品と交換します。
この時クランクケースに張り付いているガスケットをスクレーパーやオイルストーンを使いキレイにしておきます。この状態ですとクラッチがない分ガスケット剥しがやり易いです。
⇩⇩⇩
ここで追加の新品部品が来たので組みます。
クラッチハウジング。
&ボス
ロックワッシャー
バラした逆順で組付けていきます。
ハウジング裏のワッシャー、ハウジング、ボス、ロックワッシャー、ナットの順です。
センターのナットは外す際に作った治具を使いクラッチボスを固定し締めつけ。
このナットのトルクが分からなかったのですが9kgfで締め付け。
念のため一応トルクレンチで管理しました。
ナットを締めたらロックワッシャーの爪をナットに沿って織り込み締め込み完了。
次にプレート類を組み込みます。
外したプレート達と同じ順になるように組み込みます。
⇧フリクションプレートは組み込む前にエンジンオイルに浸しておきます。
続いてクラッチプレート。
こちらもオイルを添付し組付け・・・⇩
って・・・!!?え?ナニコレ!!?
以前の部品と変更になってました。
何だこれ💦
てか、どう組むんだ??
悩んだ結果・・・
下の写真の1・3・5・7・9の所に突起部分が来るように組み込んでみました。
後で知り合いのホンダの整備してた仲間に聞いたら「対角で組んでるよー!」と言っていました。実際あんまり関係ないみたいです。自分はバランス的に同じ位置に来ないように組んでみた感じです。
こんな感じ⇧
正解か間違っているか分かりません!!
都合上どうしても組み上げなければならなかったので、とりあえずこれで組んでみて間違えていたらまたバラすつもりで組んでみました。
現在交換後1500キロ以上走りましたが今のところ問題なし!多分OK!
この後はクラッチスプリングを組み込み
対角線に徐々に締め込みトルク管理。
新品のガスケットを組み込み、ケースカバーを付け、プラスボルトを締め込み、外した順序の逆にペタル類組み込んでいきエンジンオイルを入れて完成です!!
ここまでお疲れ様でした。
試運転時、クラッチの感覚に変化出るときがありますので慎重に走り出しましょう!!
ではまた~!!